NaeBuka
桜梅桃華@女装・TSF小説
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メンズメイク体験から始まった、僕の女装堕ち:2

笑う彼女と、笑われる僕

「ごめん、遅くなっちゃった……!」


息を切らして駆け込んだ瞬間、広場で僕を待っていた彼女、“凛”は、僕の声を聞いてぱっと顔を上げ、にこっと笑った。

けれど、次の瞬間。その笑顔は硬直して、目を見開いたまま動かなくなる。

「……えっ、誰?」


その一言が胸を貫いた。

やっぱり。鏡で見たときの“僕じゃない誰かの顔”が、彼女の目にもそう映っているのだ。

胸がぎゅっと締め付けられる。


「ち、違うんだ……!これ、さっき百貨店で……メンズメイク体験って言われて……」


必死に言い訳を並べる。

けれど凛の視線は冷ややかで、眉をひそめている。


「それが“メンズ”ねぇ?どう見ても女の子なんだけど」


「ほんとなんだよ、信じて……!」


「わかってる。……啓斗だってことはね。でも、ふーん……」


からかうように小首をかしげ、唇の端を上げる。

その態度に胸がざわついた。



結局、説明を半分だけ信じてもらえたような、そんな曖昧な空気のまま僕らは歩き出した。


足を進めるたび、視線が突き刺さる。

人混みのざわめきの中で、ちらちらと僕に注がれる目線。

――やっぱり、女の子に見えているんだろうか。


「ねぇ、そんなにうつむかなくてもいいじゃん」


凛が隣で笑う。

僕が肩をすぼめているのを面白がっているようだった。


「普段通りにしてれば、私と並んで歩く“女友達”にしか見えないよ?」


「そ、それが余計に恥ずかしいんだよ……!」


「ふふっ、ほんと可愛い」


彼女は僕の顔をじろじろと眺める。その視線が、ひどく居心地悪い。


「改めて見るとさ……啓斗って、やっぱり女の子でも通じちゃうんだね。背高いけど、顔小さいし。今日の服もジェンダーレスっぽいから、余計に」


「やめてよ……僕は男だし……」


「知ってるよ。でも、今は見た目は完全に女の子だよ」


凛は楽しそうに笑う。

その笑顔が、からかわれているのにどうしても可愛く見えて、反論できなくなる。



高級感のあるレストランに足を踏み入れた瞬間、予感は的中した。

黒服の店員が柔らかい笑顔で出迎え、僕を含めて「お二人様ですね」と案内する。

完全に女性として扱われている事がわかる。


「あの、僕は……」


言いかけたけれど、凛がすぐに腕を組んできて、小声で囁いた。


「いいから。気づかれたくないんでしょ?」


彼女の声に、言葉が喉で詰まる。

否定するよりも、訂正せずに済むことが救いのように思えてしまった。


席に着くと、ウェイターがメニューを置きながらはっきりと「お嬢様」と言った。

その一言に鼓動が跳ね上がる。

手の震えが止まらない。視線を泳がせる僕の横で、凛は口元を押さえて笑っている。


「……なんで訂正してくれないの」


「だって面白いんだもん」


涼しい顔で答える凛。


「それに、私の誕生日だよ?今日くらい、私のわがまま聞いてくれるよね?」


逃げ道を塞がれるような声音。

心臓が不安と羞恥で大きく脈打った。



料理が運ばれてくる前に、僕はバッグから百貨店の紙袋を差し出した。

今日のために必死で準備した、ブランドコスメ一式。


「誕生日おめでとう、凛ちゃん。欲しいって言ってたやつ……やっと買えた」


彼女の目が輝き、袋を覗き込む。

次々に取り出されるアイテムを前に、彼女は子供みたいに嬉しそうに笑った。

その顔を見て、やっと胸が安堵で満たされる。

僕はちゃんと彼女のためにできたんだ、と。


けれど、次の言葉がその安堵を打ち砕いた。


「これ……啓斗が使っても似合いそう」


「っ……な、なに言って……」


「だってこの色味、今のメイクにすごく合うよ?リップもアイシャドウも」


凛はわざとらしく僕の顔とコスメを交互に見比べ、にやにやと笑った。

熱くなる頬を両手で覆いたいのに、動けなかった。



食事が進む間も、店員は終始僕を“女性”として扱った。


「お嬢様のお皿をお下げしても……」

「彼女さんの分はデザートとご一緒に」



そのたびに羞恥心で胃がきりきり痛む。

声を上げて否定すれば済むのに、凛の楽しそうな表情を壊したくなくて、口が動かなかった。


「ねぇ啓斗、もう完全に女の子扱いだね」


小声で囁かれる。

羞恥と同時に、不思議な感覚が背筋を這い上がっていく。

彼女の言葉に支配されているみたいだ。



デザートが運ばれてきたタイミングで、凛はナイフとフォークを置き、まっすぐ僕を見つめた。

さっきまでの茶化す笑みではない。真剣で、逃げ場を与えない目。


「ねぇ啓斗。今日は私の誕生日だよね?」


「……うん」


「だったら、私のお願い聞いてくれるよね?」


喉が鳴る。

嫌な予感が全身を駆け抜けた。


「な、何を……?」


「せっかく女の子みたいなメイクなんだから――ウィッグと服、買って女装してみてよ」


にこっと笑った彼女の声は甘く、だけど有無を言わせない強さを帯びていた。

その瞬間、心臓がどくんと大きく跳ねる。

誕生日を口実にした命令。

逃げることなんて、もうできなかった。


「……っ無理だよ、そんなの……!」


「どうして?もう半分以上、女の子に見えてるのに」


凛の視線が射抜くように絡みつく。

周囲の視線、化粧された顔、彼女の小悪魔的な笑み――全部が絡まり、僕の喉を塞いだ。


「……ね、啓斗。私に逆らえないでしょ?」


囁くような声が耳朶を撫でる。

羞恥と、抗えない支配感。

僕は、言葉を失ったまま、ただ彼女を見返すしかできなかった。


【2章へつづく…】

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メンズメイク体験から始まった、僕の女装堕ち:2 メンズメイク体験から始まった、僕の女装堕ち:2 メンズメイク体験から始まった、僕の女装堕ち:2

Comments

ありがとうございます✨ 3章も是非お楽しみ下さい🙇‍♀️

桜梅桃華@女装・TSF小説

最高です!☺️

yuu02


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