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桜梅桃華@女装・TSF小説
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【特別編】男の娘のための性別矯正下着 ー揺れる胸、走る俺は女の子:3ー

禁断の入口

休日の午後、鏡の前で髪を整える。

ブラウスのボタンを留め、スカートの皺を指でなぞる。

こうして外に出るたびに、胸の奥で小さく鳴る。

――“わたし”として生きている音。


ショッピングモールの吹き抜けを歩いていたとき、ふと見覚えのある横顔が視界をよぎった。


倉島 彩音


同じ高校の女子陸上部で女子キャプテン。誰に対しても明るく、今年の100mでインターハイに出場したらしい。


もし、自分が男でいられたら、自分もインターハイの舞台に立っていたのかな……

そんな取り返しのつかない“もしも”が胸をかすめて、少しだけ、昔の自分が恋しくなった。


倉島さんの隣には、見知らぬ女の子がいた。

細い腕を絡め、顔を寄せ合って笑っている。

近くで見なくてもわかる――恋人の距離だった。


胸の奥がきゅっと締めつけられる。

何に対してなのか、わからない。

嫉妬?それとも、憧れ?

倉島さんがその子を見つめる目が優しくて、痛いくらいに綺麗だった。



気づけば、わたしは二人のあとを追っていた。

理由なんてなかった。

ただ、目を離したくなかった。

エスカレーターを下り、モールの奥へ。

二人は人込みへ入っていく。

わたしは少し距離を取りながら、こっそり覗いた。


倉島さんがその子の頬に触れた。

指先で髪をすくい、唇を寄せて囁く。


そして、スカートの裾に手を滑り込ませた。


――え……。


息が止まった。

女の子の肩がびくんと震え、短い吐息が漏れる。

倉島さんの表情は、何の感情も浮かんでいないかのように装っていた。


隣の女の子は頬を赤らめ、右手の人差し指を甘噛みして、声が漏れないように必死に耐えていた。



心臓がドクドクとうるさい。

太ももがじんと熱を持つ。


(なに、あれ……)


呟いた声が、かすれて震えた。

見てはいけないのに、目が離せない。

あの子の震える脚。倉島さんの指の動き。

そのたびに、自分の中の何かが呼び覚まされていく。


触れられたい。

――わたしも、あんなふうに。

胸の奥で、はっきりとそう思ってしまった。


女の子の身体になってからは蓋をしていた、性的欲求。

いつの間にか、心のどこかで「求められたい」と願っていた。

その事実が、恐ろしくもあって、甘くもあった。


気づいたときには、ふたりの姿はもういなかった。

残されたのは、どこか甘い空気と、胸に残る熱だけ。

人混みの音が戻ってくる中で、わたしは小さく息を吐いた。

見てはいけないものを見た。

でも、目を閉じても、焼きついた光景は消えない。



夜。

ベッドに座って、スマホを握りしめる。

部屋の明かりを落とすと、画面の光だけが頬を照らす。

倉島さんの名前が浮かぶ。

指先が勝手に動いた。


――どうして、こんなことをしようとしてるんだろう。


頭では止めようとしているのに、身体が言うことを聞かない。

男だったころの性欲が、女の子になった“わたし”の理性を飲み込んでいく。


『さっき女の子と二人で歩いてたよね?しかも倉島さんがその子のスカートの中に手を入れてまさぐってたよね……。その子も含めて三人で会いたいな』


送信ボタンを押した瞬間、心臓が焼けつくように熱くなった。

どうしてそんな言葉を打ったのか、自分でもわからない。

胸の奥がズキズキして、息が苦しい。

後悔と、少しの期待が入り混じる。


数分後、スマホが震えた。

倉島さんからの返信。


『高橋くん、見てたの?あれは……ちがうの。ごめんね、ちょっと説明が難しくて……』


文面が途中で途切れていた。

短い文章なのに、倉島さんの動揺が伝わってくる。

彼女の指が震えながら打ったような、そんな文字。

わたしも、なんだか怖くて返信できない。


わたしは鏡の前に立つ。

スカートの裾を指でつまみ、息を整える。

「……見てるだけじゃ、足りないの」

唇が微かに笑った。

鏡の中の女が、艶っぽい目をしていた。


スマホがもう一度だけ震える。

通知の灯りが頬を照らし、夜の静けさに溶ける。

画面には、倉島さんの名前。

その下に、たった一行のメッセージ。


『わかった。優斗くんにも聞いてみるね』


その瞬間、背筋に冷たいものが走った。

胸の奥がざわつく。

――優斗?

あの女の子の名前……?


指先が震える。

期待なのか、恐怖なのか、自分でもわからない。

ただひとつ確かなのは、もう後戻りできないということ。

わたしは、見てしまった。

そして、踏み込んでしまった。

禁断の関係の入口に……



※次回からは別のキャラの物語を投稿します

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