おくちを描くにあたって避けられないのが、舌や口蓋の描写で、他の絵描きさんの作品を見ていると、胃の描きかた同様にイメージで描く人が多い印象を受けました。
私の場合は解剖学的見地をベースに描くことは前回のブロマガでも描いたとおりで、どのように舌や口蓋を描くか、参考にしていただければと思います。
この内容は他の絵描きさんの描画方法を否定するものではなく、界隈(かいわい)のよりよい発展を目指す知見の共有目的になります。
またわかりやすさのため、詳しい解剖学的見地は省略している部分があり、間違っている可能性もあるため、あらかじめご了承ください。
舌は手足の描写と同じように、動きだけでも表情やキャラクターの性格・心情を出すことができる部位です。
舌は描きかた次第で、扇情的になったりコミカルなギャグにもなるので、描いていて楽しく、とても興味深い箇所なんですね。
手や足の描きかたで絵描きの技量がわかるという話があるように、舌もしっかり描ければ、それもまた絵描きの技量が高いということになります。
(ただしリアルに描けばいいというわけではありません。適度にデフォルメをして、作画の雰囲気に合わせることも大切です)
たとえば左上のように、舌を相手に突き出すポーズをする際、舌の裏側が見える、紙をめくるような波うった感じで描くと扇情的になります。
舌が長い人であれば、目一杯出すと先端が内側に向いたりしますし、舌を限界まで出せば、ノドの奥に喉頭蓋を覗かせることもあります。
日本人は舌が短い
ちなみに、日本人の舌は外国人と比べて短い傾向にあります。
これは日本語の発音が英語と比べて、舌をあまり使用しないのが一因としてあるそうです。
日本人の英語発音がたどたどしいのは、それだけ舌が動かせない民族だからということですね。そう考えると、民族性による人体の不思議を感じさせます。
舌の動きは簡単に要約すると、
・アゴの骨にある舌筋(顎舌骨筋・オトガイ舌骨筋)
・ノド(声帯付近)の舌骨
・耳周辺に繋がっている筋肉(顎二腹筋・茎突舌骨筋)
これらの位置・筋肉の相互作用によって舌は動いています。
特にアゴの舌筋・舌骨部分は意識すると立体感が生まれ、ノドにタコが棲んでいて、足を口という穴から出す感じで、上向きに弧を描くと説得力が増します。
(言っていることがなかなか際どいですが、イメージとしてはそのような感じです)
・舌を上向きに巻くと、舌の裏スジ(舌小帯)が見える
→ 舌小帯が柔らかいと、舌を呑み込む芸ができる人もいます。
・舌を目一杯出すと、喉頭蓋が見える
→ 見えかたには個人差があります。
・舌なめずりはおモチが穴からはみ出るイメージ
→ 扇情的なシーンで活用できると思います。
舌の描きかたは大きく分けて、
・センシティブ舌
→ 筋ばった舌。扇情的なイラストや同人作品に多い。
・リアル舌
→ リアルに近い舌。
この2種類があり、正直に言ってどちらが正しい・間違いではなく、完全に好みです。
個人的にはリアル舌で描くことが多く、これは通常・扇情的描写を切り替える際、作画の落差が起きにくいと考えているからですね。
ちなみにセンシティブ舌は「ウサギ舌」と私はよんでいます。
なぜウサギ舌なのかは「ウサギ 舌ペロ」で検索すると理解できるので、気になる方はチェックしてみてください。
(「ウサギ 舌」でも出てきますが、医療系の痛々しい画像が出てくるので注意です)
・舌はどこから生えているのかを意識する
→ 意識するとのっぺりにならず、立体感が生まれます。
・舌の周囲に質量が多いことをイメージする
→ 解剖学的に不正確ですが、舌の周囲に肉が詰まっているように意識すると、舌が生き生きします。手でつまんで重力で伸びたおモチをイメージしてみてください。
・光と影をしっかり描く
→ 舌は唾液で濡れているため、光と影が出やすい場所です。
・舌の写真や自分の舌をチェック
→ 観察することは絵描きの基本であり、それを元にして肉付けしていきましょう。
そして留意いただきたいのは、舌といった口腔をリアルに描きすぎて、キャラクターとの塗りバランスが崩れてしまうケースがあることです。
おくち系イラストだと陥りやすい部分で、口周りはリアルなのに人物の肌や髪はシンプルという、コラ画像状態になっている作品も少なくありません。
おくちを描くのは確かに楽しいですが、プロレベルの絵描きとはデフォルメの達人です。バランスを考えて作画していきましょう。
最後に口蓋の描きかたについて解説します。
口蓋(硬口蓋)の描写は肉食動物のように、シワを描いてヒダっぽくする人が多く見受けられます。
もちろん彼らを指さして「間違っている!」と言いたいわけではありませんが、解剖学的に考えると正確ではありません。
人間の口蓋はもっとシンプルであり、シワがあるのは前歯周辺だけです(口蓋皺壁:こうがいすうへき)。
個人的にはイヌやネコのケモミミ系キャラクターなら、肉食動物が元になっているので、シワを描くのもアリかなと思っています。
骨隆起の描写もアリ
人によっては上アゴの骨が盛り上がる骨隆起がある場合もあり、その描写はアリでしょうね。
ちなみに骨隆起は遺伝のほか、歯のかみ合わせが悪かったり、ストレスが多く歯ぎしりする人にも見られる特徴のようです。
女性キャラクターで歯並びの悪い人物を描くことはまずありませんから、ストレスに弱い人という裏描写もできるかもしれませんね。
ここまで、舌や口蓋を描くにあたってのポイントをいくつかお伝えしました。
おくち系の作品を描くのであれば舌や口蓋などの描写は切っても切り離せない部分ですね。
しかしそうでない人も、目や口だけではなく、舌にもキャラクターの表情をつけて魅力的な描写にするメリットがあるので、学んで損はないかと思います。
次回のブロマガではそういった表情・コミカルな舌の描きかたをお伝えできればと思います。
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