(この記事はファンティアに掲載されたものと同一です)
新年おめでとうございます。
今年も何卒、よろしくお願いします!
さて、現在進行中のコミッション作品ですが、ご依頼主から許可をいただきましたので、現在出来ている13枚分、全部どかんと載せちゃいます!
コミッションは、打ち合わせ後、引き受けるかお断りするかの判断を経て支払いをするという仕組みで行っています。
枠を連続して押さえることも出来る上に、今回のように連作という形にすることも可能です。
つまりは、オリジナルの敵を用意して、攻撃対象は都度変わっていく。そうすることによって色んなヒーロー達を代わる代わる苦しめられるというものも作ることが出来ます。
現在同時並行3本という忙しさではありますが、そのうちの一本、トッキュウジャーより4号がご依頼としてきております。現時点まで完成している13枚、まるごと全部見せちゃいます!
-----「一人殺せど恨みは晴れず」-----
シンケンレッドとグリーンを殺し、手下を従えて時間の狭間へと消えた怪物、惨(ざん)鬼(き)は、次の獲物を物色しながら、遙か先の未来で出会った協力者と連絡を取っていた。
「奴らの仲間がごちゃごちゃ現れても困るんでね」
通信機の向こうの相手に、惨鬼が言う。
「だってそうだろう? こっちは気持ちよくぶち殺したいのに、興味のないやつまで出てきたら厄介だ」
灰色の皮膚、高い背丈に、一目で頑丈だと分かるほど、全身に隆起した筋肉を浮かせる惨鬼が、相手の言葉にうーんと唸る。
「世界なんざ、あんたの好きなようにすればいい。だが、そのために邪魔者を殺して回ってんだぜ? 多少の協力はしてもらわんと」
そしてまた、うーんと唸る。
「タイム…、なんとかはそっちでおさえてくれ。どんな通信装置でも妨害できる機械が欲しい」
惨鬼の後ろに、ヤミオロロがやってきて、
「死んだ奴らのマスク、飾ったよお」
と声をかけた。
「おう、ありがとうな。…しかし、あの侍二人のマスクを粉々にしちゃったのはもったいなかったな」
「でも、ブルーとゴールドのは手に入った」
「レッドとグリーンも欲しい。あとでちょっと出かけて、マスクはできるだけ砕くなって言いに行かないとな」
「わかった」
目の前に浮かぶ「別時代への入り口」を、指で弾きながら、ころころと切り替えて見ていると、
「お、いいのがいるじゃねえか」
一人の戦士が目にとまる。トッキュウジャーの4号だった。
彼は製鉄所に逃げ込んだ敵を仲間と仕留め、今にも帰ろうとしている。
「よおし」
惨鬼が指を鳴らすと、トッキュウジャーの前に時間の裂け目が現れ、躍り出たナナシ連中が4号以外の全員を連れ去ってしまった。
「おうおう、驚いてる驚いてる」
そこへ通信機が鳴り、雑音の向こうから協力者の返事が返ってきた。惨鬼がうんうんと相づちを打って、
「よし、そいつは絶対に確保してくれ。あと、イーガなんとかってのを目一杯買い込んでこっちによこしてくれると助かる」
惨鬼は通信を切り、狼狽える4号のいる入り口を開き、
「食後の腹ごなしといこうや」
彼らの時代に足を踏み入れたのだった。
4号の目の前に惨鬼が姿を見せると、
「何者だ⁉」
と言い、4号が拳を握りぐっと腰を落とす。
「みんなをどこへやった⁉」
「時間と時間の隙間にある、俺の住処へ招待したのさ」
「なんだと⁉」
「お前を一目見て、ビビッときたのよ。こいつで遊ぼうってな」
「そう簡単に――」
惨鬼があんぐりと口を開け、衝撃波を放つ。
「うああああああっ⁉」
4号はそれに吹き飛ばされて、スーツから無数に火花を散らしながら製鉄所の中を転がった。柱に背中を当てて、
「くあっ」
小さく呻き立ち上がる。すると、窓という窓、扉という扉が一斉に閉まり、金属を溶かす炉の熱気が逃げ場を失ってもうもうと立ちこめた。4号のバイザーに、炉の炎が反射する。ファイティングポーズを取ったまま、目の前で悠然と構える惨鬼をじっと見つめ、隙を窺った。
対する惨鬼は表情一つ変えず、じっと4号を見つめ、
「来ないのか?」
と言った。
「俺はいつでもいいんだぞ?」
と4号に言葉を投げる。それでも4号は動かない。かわりに、
「何が望みなんだ?」
そう問いかけた。
「お前が殺せればそれでいい」
4号はフンと鼻を鳴らし、トンネルアックスを呼び出すと、それを大ぶりに振り回した。
「行くぞ!」
4号が地面を蹴って動いた。重量に任せて相手を叩き斬る得意技である。その一撃を惨鬼はひらりと飛び上がってかわし、バランスを崩した4号の背中を蹴って背後に飛ぶ。
「くそっ!」
振り返った4号が再び斬りかかるが、惨鬼はまたよけて、
「じゃあこっちも行くぜ」
と、左足を軸に右足を回し蹴りの要領で振った。素早く空気を切り裂いて足で十字を描き、その衝撃波が4号に襲いかかる。
「うおおおっ!」
アックスで衝撃波を砕き、二発目のそれを飛んでよけ、惨鬼の頭めがけてアックスを振り下ろす。
「おっと」
惨鬼は後ろへ飛び退き、続けざまに振られるアックスをかわしながら、
「いいね、そんなに重たそうなものを易々振れるってのは」
「喋ってないでパンチの一つでも打ってこい!」
「かっこいいねえ」
「ふざけてるのか⁉」
「至って真面目さ」
惨鬼がアックスの柄をがっしりつかみ、4号の腹を蹴り飛ばす。
「ぐはっ!」
惨鬼は手にしたアックスをまじまじと見つめ、
「なるほど、こいつはいい。しっかり鍛えてなきゃ振れねえな」
アックスを左手に持ち替え、腕一本でそれを自在に扱って見せた。
「俺にもちょうどいいみたいだな」
惨鬼がへらへら笑っていると、4号はトッキュウブラスターを構えて光弾を撃った。惨鬼は腕一本でアックスを振り、弾を叩き落としていく。そればかりか、
「お前はこれ出来るのか?」
アックスを水平に持ち体を回転させ、4号の撃った光弾を弾き返したのだ。
「なに――」
次の瞬間、自分の撃った弾に撃たれて、
「うあああああっ!」
4号は火花をまき散らして吹っ飛んだ。
「くあっ――」
4号が体を起こすと、惨鬼の腕が伸びてきて、がっちりと首を絞められ、
「かはっ!」
ぐいっと体を持ち上げられてしまった。
「…うああっ」
片手で4号を持ち上げた惨鬼は、彼の体をじっくりと、嘗め回すように視線を走らせ、
「思った通り、いい体だなあ」
と言うと、4号を柱に押しつけてマスクに頭突きを食らわせた。
「がはっ!」
一撃でマスクに亀裂が走り、二発目で、
「ぐはっ!」
ヒビがさらに大きく走った。三発目を食らい、
「ぐあああっ!」
バキャリと派手な音を立ててマスクが壊れ、ぱらぱらと破片が足下に散る。バイザーの片側を失い、4号の目が惨鬼を捉えた。そしてツーッと一筋、赤い血が額から垂れ落ちる。
「あっ…、がはっ……」
首を絞められ時折顔を歪めて、4号が喘ぐ。そこへ惨鬼がぱっと手を放し、回し蹴りを食らわせた。脇腹を鋭く蹴り飛ばされて、
「ぐあああああっ!」
4号が横っ飛びに吹き飛んで、リベットが山のように入った箱を突き崩して倒れ込んだ。
惨鬼は左手に握るアックスを炉に近付けて、
「ほらどうした、殴りに来いよ」
と言う。
「…だったら、望み通りに……!」
4号が立ち上がると惨鬼が目の前から消えた。
「えっ――」
上を見上げると、アックスを手に惨鬼が飛んでくるところだった。アックスの刃が真っ赤に焼けている。
惨鬼がアックスを縦に振り、鋭い一撃が4号を斬った。
「ぐはあああああっ!」
真一文字に斬られて、火花を噴きながらくるりと背を向ける4号。そこへ惨鬼の鳧が飛ぶ。
「うああああっ!」
吹っ飛び壁にぶち当たって崩れ落ちた4号へ、惨鬼が空気を切り裂いた衝撃波を飛ばした。それが4号の全身を斬りつけ、
「ぐわああああああああっ!」
踊るように体を揺らして、再び倒れ込む。
「これじゃ腹ごなしにもならないぞ」
這いつくばる4号に文句を垂れながら、惨鬼は手にしているアックスを背後に放り投げた。
アックスがくるくる弧を描いて、焼けた鉄の中にどぼんと落ちた。
「あああっ⁉」
4号の目の前で、自慢の武器がどろどろに溶けた鉄に飲み込まれて沈んでしまった。
「取ってこいよ」
惨鬼がそう言って笑い、4号ににじり寄る。
4号が雄叫びをあげて惨鬼に襲いかかり、拳と拳の格闘戦が始まった。
4号のパンチやキックを、惨鬼は受け流したり弾き返したりしながら、お返しとばかりに拳を振るう。殴られ、蹴られてよろめく4号は、負けじと打撃を放ち続けた。
割れたマスクから汗を飛び散らせ、声を張り上げてパンチを放つ。だが、その拳が惨鬼に打ち込まれるより早く掌で弾かれていく。攻撃の手を早める4号の顔に、焦りの色が浮かび始めた。そして生まれた隙を惨鬼は見逃さず、アッパーが4号の腹を抉った。
「ぐほおっ!」
そして、惨鬼のハードパンチの嵐が襲いかかった。
拳と拳がぶつかり合い、弾かれた4号の腹に惨鬼の拳がめり込み、
「がはあっ!」
反撃する間(ま)を与えないほど、苛烈な攻撃を加えた。そして4号はひたすら惨鬼の打撃に体を揺らし、
「ぐあっ、ぐふっ、うあっがああっ!」
悲鳴を上げるばかりである。
腹を殴られた4号が体を折り、横っ面を殴られ、
「ぐはあっ!」
マスクがひしゃげてすっぽりと脱げて転がっていった。反動で背を向け柱にぶち当たり、さらに回し蹴りが飛ぶ。
「ぐはああっ!」
柱が砕けて4号が膝を突いた。ばたりと倒れ込んだ彼の腹に、惨鬼が足を落とす。
「ぐああああっ!」
地面に無数の亀裂が走り、二発目を食らわせると、
「ぐああああああっ!」
さらに4号が叫んだ。打撃の威力は建物全体を揺らすほどで、硬い床を陥没させるほどである。
足を上げると4号が目一杯空気を吸い込み腹が膨らむ。そこへまた踵が叩き落とされて、
「ぐほあああああっ!」
とうとう4号の体半分が地面にめり込んだ。
「あがっ、がはっ……!」
三度(みたび)足が振り下ろされて、
「うがああああっ!」
苦しむ4号の腹を、惨鬼がぐりぐりと踏みにじる。スーツはズバズバと音を立てて火花を散らし、4号が咳き込む。
じわじわと、足で4号を踏み潰す惨鬼が力強く足をねじった。
「ぶあっ!」
4号の口から真っ赤な血が噴き上がり、
「…ぐああああっ!」
痛みに呻いた。
「腹の中身がどれか潰れたかな?」
「ぐぶっ、ぶえぇっ……!」
「いい顔になったじゃねえか」
苦痛に歪む4号の顔をみて、惨鬼がにやりと笑う。吐き出した血で口を真っ赤に汚し、右の頬は腫れて紫に変色していた。
「あぐううぅっ」