エピソードXX いつかふたりは殺される 1
Added 2023-08-31 15:12:10 +0000 UTC陽炎の揺れるアスファルトをキラメイレッドとイエロー、ブルーが駆け抜けていく。行方が分からないグリーンとピンクを探しながら、クロック邪面を追いかけているのだ。
その日、真昼の出来事である。街中に怪音波が響き渡って、都会のビル群が次々と弾け飛んだ。すると砕け散ったビル街がたちどころに復活しては、また吹き飛ぶのを三度繰り返したのである。
キラメイレッド達が現場へ行くと、ロンドンの時計塔のような外観に手足が生えた、クロック邪面が指で時計の針をくるくる回して時間を操って人々を苦しめていたのである。
時間の流れを操るクロック邪面に戦いを挑む五人だったが、グリーンとピンクを文字盤の中へ吸い込んで姿を消してしまった。レッド達はそれを追いかけて、街の郊外にある廃工場へ躍り出たのだった。
レッド達は工場の中へ入ってしばらく辺りを見回していた。
「どこだ?」
とレッドが首をかしげ、イエローはキラメイビジョンを使って遠くを見ながら、
「ダメだ、ちっとも見つからない」
と首を振る。ブルーも同じように別の方角をキラメイビジョンで探していると、ちらりとクロック邪面の頭が窓の外に突き出ているのを見つけた。
「いたぞ、あそこだ!」
ブルーがキラメイソードを抜き走り出す。
「覚悟しろッ!」
と飛びかかった直後、クロック邪面は笑いながら、
「ひっかかったな!」
と言って文字盤をがぱっと開いた。紫色の光が渦巻くその中へブルーが、
「うわあああああ⁉」
吸い込まれてしまう。
「早く助けなきゃ!」
焦るレッドの背後で小石を踏む音がして振り返ると、拡声器に手足を生やしたような姿の怪物が立っていた。その怪物がひどく掠(かす)れた大声で、
「ウェーブ邪面様が相手になってやる!」
と言うと、耳が破裂しそうなほどの大音量で、
「破壊音波!」
攻撃を放った。レッドとイエローが耳を塞ぎ、音波がスーツを傷つける。二人は体中からバシュバシュと音を立てて火花を散らし、
「ぐうああああッ!」
「うぐああああッ!」
たまらずその場にへたり込んだ。
「み、耳がっ……!」
「頭が…、割れるっ……!」
「ほらほらもっと苦しめぇ!」
ウェーブ邪面がさらに音量を上げて二人を苦しめる。レッド達はキラメイショットを抜いて撃ち始めた。
「うあっ」
ウェーブ邪面は襲い来る光弾にたまらず仰け反り、逸れた音波が天井に当たって屋根が崩れ、
「うわあああ」
崩れ落ちた瓦礫の下敷きになってしまった。レッドとイエローが頭を振りながらゆっくり立ち上がって、
「やっと…止まった……」
「これじゃあビルだって砕けるわけだ。まずはこいつから畳むぞ!」
「わかった!」
レッドがキラメイソードを抜いて飛び上がる。イエローはキラメイショットで瓦礫を弾き飛ばし、レッドの刃が貫けるように援護に回った。二人の背後にいるクロック邪面の文字盤、その秒針がピタリと止まる。レッドは空中で、イエローは射撃しながら動きが止まってしまった。ウェーブ邪面が砂埃を払って逃げ出すと、クロック邪面が中へ入ってきて、
「バカな奴らだな」
と言うと、さっきまでウェーブ邪面が転がっていた場所にイエローを運び寝かせたのである。少し腕をいじって空中のレッドに銃口を向け、指で目一杯トリガーを押し込ませる。
「これで奴らも終わりだな」
「さすがクロック邪面。頭がいいな」
「それほどでも。では、スタート!」
秒針がカチリと動き出した。レッドが驚き、
「うわっ」
と声を上げる。イエローが、
「どけええッ!」
と叫んだが間に合うわけもなく、イエローがウェーブ邪面に向かって放った光弾に自ら撃たれ、
「ぐああああッ!」
寝転がったままはなった光弾がレッドに炸裂し、
「うああああッ!」
キラメイソードがイエローの喉を貫く寸前でレッドが向きを変えて地面に落ちる。
「ぐわああっ……!」
「ぐはっ、うああっ……!」
「なんだ、惜しいな」
「あと少しだったのに!」
イエローが体を起こして、
「卑怯な事しやがって!」
キラメイショットを撃つ。またがちりと秒針が止まって、今度はウェーブ仮面が地面に転がるレッドを射線の前に連れてきて、大の字に立たせた。
つづく