エピソードXX いつか二人は殺される 2
Added 2023-09-19 23:04:38 +0000 UTCがちり。秒針が動き出すとレッドに光弾が命中して、
「ぐはああッ!」
レッドが大の字に吹っ飛んでいく。土埃を巻き上げて転がっていったレッドが、右脚を押さえて、
「…ぐああああッ!」
呻いた。押さえる手の隙間からスーツが抉れて血が滲んでいたのである。
レッドは足を引きずるようにして立ち上がると、イエローの援護を受けながらウェーブ邪面に斬りかかった。だが切っ先が触れる寸前でよけられてしまい、音波攻撃を食らって火花を散らしながら、
「うあああああッ!」
壁にしたたかに背中を打ち付けて地面に落ちた。
「くそぉ…、負けるかあッ!」
レッドが再び飛びかかった。すぐにクロック邪面が時間を止めてしまい、
「頑張ればどうにかなると思ってるんだな」
「世の中どうにもならないことだってあるのになあ」
口々に言いながら、レッドが突き出した切っ先の前にイエローを立たせた。
「こいつに怪我した脚を撃たせよう」
「じゃあこいつの剣で胸を貫くコースに立たせて……」
ああでもないこうでもないと、まるで人形遊びでもするかのようにレッド達にポーズを取らせ、時間を進めた。
「うわ⁉」
「なんだ⁉」
イエローの銃撃がレッドの右足に炸裂して、
「ぐあああああッ!」
レッドの切っ先がイエローの胸から逸れて右肩をざっくりと斬りつける。
「あぐううううッ!」
レッドが脚を押さえて崩れ落ち、イエローは右肩を押さえて膝をつく。
「惜しい!」
「脚を撃たない方がよかったな」
「そうすればイエローを倒せたのに。次はもっと上手くやろう」
クロック邪面は文字盤を開け、中にレッドを吸い込んだ。
「これであいつだけになったな」
「一人ずつならたいしたことは無いだろうねぇ」
「…ナメやがってぇッ!」
イエローはウェーブ邪面達に向かって飛びかかっていったのだった。
クロック邪面の文字盤に飲み込まれてしまったキラメイレッドは、稲光のようなものが渦巻く異空間を落下し続けていた。光る球を掴もうと手を伸ばしてもするりとよけてしまい、どこまでも落下を続けている。
「一体どうなってるんだこれは……?」
体を翻して手足を伸ばし、ゆっくりと周りを見る。キラメイビジョンで拡大すると、掴もうとしていた光る球の表面にはうっすらと時計の長針や短針が浮かんでいて、その背後を街ゆく人が通り過ぎている。現代のもの、過去の人、様々なものがあちこちに散らばる球の中に映し出されている。
体を傾けると少しだけ、右に逸れたり左に曲がったり出来ることが分かって、レッドは近くを浮遊する球の方へ舵を切った。体がスカイダイビングをしているかのように、なめらかに曲がって球の方へと近づいていく。球の正面まで来て手を伸ばすと、レッドの体がすぽんと、吸い込まれていった。
強い風に襲われてきりもみ状態でレッドが空から落ちていく。さっきまで戦っていた廃工場の天井がぐんぐん視界に迫ってきて、
「うわああああ!」
手をつこうとした瞬間に屋根を突き破ったのである。天井を突き崩してコンクリートの床にぶつかったレッドを見て、バーロ兵達が驚いて振り返った。
「なんだこいつ⁉」
「オーレンジャーか⁉」
バーロ兵達が身構えて、バチバチと帯電した電磁棒を抜く。それをみたレッドが、
「うわ、なんだこいつら⁉」
驚き飛び退いたところへ電磁棒が叩きつけられて、コンクリートの床に亀裂が走った。
周囲を見回すと、たしかに場所は同じだが、工場が稼働していた時代に来てしまったようで、
「こいつら、ここで何か悪巧みを……」
見れば机の上に乱雑に置かれた武器や、何に使うのか想像もしたくないほどおぞましい形の器具が置かれている。
レッドに向かって襲いかかってきたバーロ兵達に向かって、
「キラメイショット!」
レッドが撃ち返す。二体、三体と火花を噴いて吹っ飛ぶのだが、しばらくして頭を振り起き上がってきてしまった。
「な、なにぃ⁉」
振り上げられた電磁棒をキラメイソードで弾き飛ばし、腹に蹴りを入れるレッドだったが、途端に怪我をした脚がズキリと痛んで、
「ぐあッ」
小さく呻く。それをバーロ兵は見逃さず、ソードをかわして電磁棒で右脚を殴りつけた。
「ぐああああッ!」
凄まじい電気ショックが走って、右脚から火花を噴いてレッドが崩れた。突き出された電磁棒をソードで払い、キラメイショットで頭を打つと、
「ふぎゃ!」
バーロ兵の一体がようやく粉々になって散った。すかさずそこへまた電磁棒を振られて、
「うおっ⁉」
レッドが転がってよける。
「やっと一人片付いたってのに……!」
バーロ兵達はゴリラのように胸を叩いて大きな金属音を立て、電磁棒を振りかざして一斉に襲いかかってきた。
つづく