エピソードXX いつかふたりは殺される 4
Added 2023-11-16 23:00:00 +0000 UTC「君、出口の場所…なんて知らないよな」 「迷子なの?」 「まぁ、ね。でも大丈夫」 キラメイショットを見せて、 「これで壁に穴を開ければ……」 と、脇腹にゴツリとした感触を感じてレッドが男の子の顔を見る。いやに冷たい目をして笑った。 「えっ……」 途端にレッドに電撃が走って、 「ぐあああッ⁉」 がくりと膝をつく。痺れて動けないレッドの腕から男の子がするりと抜け出すと、手には電磁棒が握られていた。 「なっ……⁉」 男の子の回し蹴りを食らって、 「ぐはッ!」 レッドがうつ伏せに倒れ込む。男の子はレッドにまたがると、電磁棒を首に回して、両手で引っ張りながら上体を無理やり反らせ、 「さすがヒーローさんは優しいね」 と言うと再び電撃を放ったのである。 「ぐわあああああッ!」 男の子はひとしきり電撃を浴びせた後立ち上がって、レッドの脇腹を蹴った。 「ぐあッ!」 動けないでいるレッドの鳩尾に電撃棒を突き立て、 「ぐがああああああッ!」 ぱっと放して一呼吸おいてから、また鳩尾に突き立てた。 「うあああああああッ!」 キラメイショットを奪い取って、痺れてまともによけることも出来ないレッドに向ける。 「やめっ――」 男の子が引き金を引くと、無数の光弾がレッドの腹に炸裂した。 「ぐわああああああああああああッ!」 電磁棒で腹をつかれたまま自分の銃で撃たれ、レッドは火花を散らしながら体を跳ね回らせた。頭を反らし胸を突きだし、今度は体を丸め、また体が伸びたかと思えば腰を突き上げる。苦痛に体をねじるレッドの右脚が血で濡れているのに気づいた男の子は、銃口をそこへ向けた。ガチリと引き金を引くと光弾が右脚に襲いかかって、 「ぎゃううわああああああッ!」 レッドが飛び跳ねた。電磁棒を払いのけて脚を押さえて転げ回る。男の子は電磁棒でレッドの尻を叩き、 「ぐひいいいいッ!」 脇腹を蹴り上げて股間を殴りつけた。 「はぎゃあああッ!」 レッドが体をカタカタ小刻みに震わせながら、 「なん…で……?」 と呟いた。 「察しが悪いね」 男の子の顔がスライドして目が真っ赤に光る。胸に破壊光線が飛んできて、 「ぐわああああッ!」 レッドの体が吹っ飛び壁にどしんとぶつかった。 「化けてた…のか……!」 「正解。ご褒美をあげなきゃね」 破壊光線と歯車カッターが同時に撃ち込まれて、レッドが苦痛に叫ぶ。うつ伏せに倒れ込んだところへ電磁棒で殴られ、 「ぐがあッ!」 よろよろ起き上がったところを蹴り飛ばされて、 「がふうッ!」 床に倒れ込むとまた光線を撃ち込まれた。 「うぐあああああッ!」 それでもレッドは立ち上がって子供に手を伸ばした。歯車カッターを転がってよけ、懐へ飛び込みキラメイショットを奪い返すと、ドアを突き破るようにして廊下へと逃げたのだった。 半ば足を引きずるように廊下を走っていると、遠くからバーロ兵の重たい足音が聞こえ、 「まずい!」 手近なドアを開けて中へ隠れる。するとそこにはさっきの男の子が立っていて、 「いらっしゃい」 と破壊光線を撃った。腹に正面から食らったレッドが、 「ぐああああッ!」 吹っ飛んでドアを突き破り、反対側の部屋のドアを突き崩して中に倒れ込む。 「ぐああっ……」 ゆっくり目を開けるとバイザー越しにバーロ兵達が顔を覗き込んでいて、 「うあっ⁉」 驚いた瞬間、四方八方から電磁棒で殴りつけられた。 「ぐあああああッ!」 悶えるレッドの首をがしっと掴んで引きずり起こし、腹にパンチを叩きつける。 「がはあッ!」 股間を蹴り上げ怯んだところへ横っ面を殴りつけ、 「げふあッ!」 レッドが倒れ込んだ。すかさず別のバーロ兵が顎を蹴り上げてレッドを宙に打ち上げる。 「ぐはあッ!」 浮いた体に向かって破壊光線を放つと、レッドのスーツが火花を噴き出し、 「ぐはあああッ!」 背後にいたバーロ兵にもたれかかるように倒れ込む。 「支えててやるよ」 とバーロ兵に羽交い締めにされたレッドに向かって、正面に立つバーロ兵達がパンチやキックを連打する。 「ぐはッ! ぐあああッ! うがああッ!」 部屋にはスーツが立てる破裂音と肉を打つ音が響き、 「おらおら、こんなもんじゃねえぞ!」 「ぐあああああッ!」 それに混ざってバーロ兵の罵声とレッドの悲鳴が響き渡った。 元の時間軸では、ウェーブ邪面の怪音波を食らって、キラメイイエローが頭を抱えて体中から火花を噴き、 「ぐわあああああああああッ!」 劣勢に立たされていた。クロック邪面が、 「時間よとまれ!」 と秒針の動きを止めると、イエローがピタリと止まってしまう。クロック邪面はイエローの手からキラメイショットを奪い取ると、ウェーブ邪面が音波攻撃を浴びせ始めた。時間が止まって微動だにしないイエローに音波を浴びせる横で、クロック邪面がキラメイショットをイエローに連射する。ひとしきり攻撃したところでクロック邪面が、 「時間よ動け!」 と叫び秒針が動いた瞬間、イエローが凄まじい叫び声を上げてキラメイスーツがめちゃくちゃに爆発し始めた。 「うぎゃああああああッ!」 一体…なにが……⁉ 狼狽えながら撃ち返そうとするイエローだったが、自分の銃が相手の手にあるのを見て、 「うあっ⁉」 察した途端に光弾を撃ち込まれた。 「ぐはああああッ!」 腹から火柱を噴きだしイエローが吹っ飛んで、錆びた工作機械に背中を打ち付けた。 「ぐあッ!」 立ち上がろうともがくそこへ、さらに音波を浴びせられてイエローが倒れて仰け反る。 「うぐおあああああッ!」 ぐったりして体から煙を噴いているイエローにクロック邪面が言う。 「レッドがどこに行ったか知りたいだろう?」 「うあぁっ……」 「俺様が作り出した【悪夢の時間】へ旅立ってもらったのさ」 「なんだと……?」 「そこでは正義は絶対に勝てない。常に俺達悪役が勝つように仕組まれているパラダイスだ」 「なんだって……?」 「どんなにあがいても最後は死ぬ。楽しい世界だよ」 「…だとしても、あいつならそれをひっくり返してくれるさ……」 「なにぃ……?」 「きっと今頃、泣きを見てるのは向こうの連中だぜ」 「…減らず口をッ!」 クロック邪面がキラメイショットを撃った。 「ぐああッ!」 痛みに呻き悶えながらも、イエローはレッドが勝って帰ってくるのを信じて、次の手を考え始めていたのだった。 つづく